成瀬映画に登場する風景

『妻よ薔薇のやうに』(1935年)(2) NEW2024.4.19 ロケ地情報(長野県上田市)と写真・地図提供


君子(千葉早智子)が父親・俊作(丸山定夫)を東京へ戻そうと出かける長野県。
その具体的なロケ場所は不明だったが(なにしろ今からおよそ90年前の映画)今回またSさん(匿名希望)から貴重な情報と写真提供をしていただいた。
Sさんに感謝したい。
「成瀬巳喜男の設計」(中古智/蓮實重彦 筑摩書房 1990)のP75には、『妻よ薔薇のやうに』(上)伊豆ロケハンでの成瀬巳喜男の写真が掲載されている。
ロケ地は長野県(映画での設定)ではなく伊豆で撮影されたのかと思っていたが、実際に長野県で撮影されたようだ。

以下はSさんから送っていたたいだ画面写真、メール文章と写真と地図(グーグルストリートビュー、グーグル地図)を引用させてもらう(=◇)。
一部は管理者がアレンジ。


◇父からの手紙の住所を確認すると「長野県下高井群殿城村」と読める。
 下高井群は実在するが、群下に殿城村は存在しなかった。
 但し殿城村は小県郡にかつて存在した村で、現在の長野県上田市殿城地区と分かった。

 

                        


◇上田市殿城地区をストリートビューで確認していたら、映画と同一の建物に行き当たった。
 後方に見える建物は「仙石氏館跡」(長野県上田市殿城1387)である。
 ロケ地は上田市殿城地区で間違いなさそうである。(90年前の建物がほぼそのまま残っているのが驚きで、かつストリートビューで見つけたのもさらに驚き by管理者)

 


◇ロケ地が上田市殿城地区だとすると後方に見える雪山は、左から南アルプス(甲斐駒ヶ岳等)、八ヶ岳、蓼科山である。

  


    

◇火の見櫓

 

◇大きな屋敷


◇君子(千葉早智子)とお雪(英百合子)の娘・静子(堀越節子)が共同湯に入るシーン。
 直前のショット。後方に大きな旅館が映り、共同湯と思われる建物が右側に映る。
 後方の旅館の看板を拡大すると 柏屋本店 と読める。

 

◇後方の旅館は『鶴八鶴次郎』(1938)にも登場する。
 上田市殿城地区近くには温泉街はないので、近郊の有名な温泉地=別所温泉(長野県上田市)
 あたりがロケ地ではと推測してストリートビューで確認。
 柏屋本店は、「信州別所温泉かしわや本店」として別所温泉街に現存する。
 近くには共同湯の別所温泉・大師湯がある。
 二人が入浴したのはこの共同湯ではないか?



『鶴八鶴次郎』(1938)


   

     


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